「白内障進んだのやろうか。だんだん見えにくくなってきてるわ。」
視力検査の時よくお聞きする言葉です。白内障は、年齢とともに進行するので、ゆっくり視力低下します。しかし白内障で視力低下していると思っていたら、思わぬ病気が隠れていることがあります。それは、眼底出血や網膜前膜や黄斑変性のこともありますし、網膜色素変性症が隠れていたこともありました。それを見つけるためには、散瞳眼底検査、眼底三次元画像解析(OCT)、視野検査などをします。今回は、網膜前膜のお話をいたします。
外からの光が、ずうっと網膜まではいってきて、網膜に焦点を結びその映像が無事に脳にまで情報として届くとものが見えます。光は前から角膜、水晶体、硝子体を通過して網膜の上に焦点が合います。どこに濁りがあっても視力低下の原因になります。
光が網膜の中心の黄斑にまで来ても、網膜の前に膜がはっていると網膜が変形してものがゆがんで見えたりします。膜といっても、本当に薄い膜セロファンのような膜です。40歳以上の20人に1人になるといわれています。中でも50歳から70歳の女性に多い傾向があります。
眼球の中は硝子体という透明のゲル状の物質で満たされています。40歳代くらいから、硝子体の後ろの部分が液化して網膜から離れます。これを硝子体剥離といいます。剥離と聞くと怖いイメージがありますが、これは加齢の変化なので心配ありません。硝子体剥離が起こった時、黄斑に硝子体の一部が残ってしまうことがあります。この残った部分が分厚くなって網膜前膜になります。セロファンのような薄い膜の状態の軽症の場合は自覚症状がないこともあります。
網膜、特に黄斑は瞳が小さいと状態が観察できません。そのため瞳を拡げる点眼をしてから眼底検査をします。点眼してから20分ほど待っていただきます。
赤外光で網膜をスキャンして硝子体や網膜の断層図が撮影します。数分で終わり患者さんの負担はほとんどありません。患者さんにも画像をお示しして網膜前膜の状態を説明させていただきます。
薬は効きません。視力が低下したり歪みが強くなれば硝子体手術になります。症状が軽い場合は、経過観察でよいです。白内障がある場合は、白内障と網膜前膜の同時手術も可能です。
眼科の病気でよく聞く名前に白内障、緑内障があります。それぞれどんな病気なのでしょうか。
今回は、白内障に関してお話しいたします。
人の目は、よくカメラに例えられます。カメラのレンズに相当するところが水晶体です。
水晶体は、凸レンズ、虫メガネのレンズ部分の形をしています。虫メガネのレンズは、全部同じ物質ですが、水晶体は、卵のように、殻と白身と黄身の部分からできています。前面の殻を前嚢、後面の殻を後嚢と呼びます。白身に相当するのが皮質、黄身に相当するが核です。
聞きなれない言葉ですね。人の目は、光が角膜、水晶体、硝子体を通り抜けて網膜に到達します。なのでこの三つの部分が、透明でないと光が通過できません。この透明で光が通過する三つの部分を中間透光体と呼びます。以前、飛蚊症に関して書いた時、硝子体に混濁があると、何か飛んで見えると書きました。硝子体の混濁が光を遮るからです。それと同様、水晶体も混濁があると光が遮られて、視力が落ちます。
濁り方は、ひとりひとり違います。白身に当たる周辺部の皮質から濁ってくることが多いです。この段階では、中心部は、光が通過するので、視力は、低下しません。しかし、皮質の中心部が濁ってくると視力は、低下します。核、卵の黄身部分が濁ってきても視力は、低下します。核が濁ってくると、近くが見やすくなります。何故でしょう。核が濁ってくると核が膨らみ、凸レンズ効果が出て近視化するからです。
日常生活に支障がなければ、点眼薬やサプリメントにより白内障の進行を遅らせます。白内障が進行して日常生活に支障が出るようなら手術を行います。昨年まで病院で白内障手術をしていました。現在も白内障手術の介助をしており、最新の白内障手術に立ち会っております。気軽にご相談ください。
最近は、一日の温度差が大きく、建物や乗り物で予想外に冷房が強いなど体調管理に気を使いますね。体調不良になると、瞼に腫や発赤が出ることがあります。(発赤は、ホッセキと読みます。医学用語の読みややこしい)細田眼科では、最近の瞼の腫れで受診される方が多いです。
瞼の腫れの代表的なのが、麦粒腫(ものもらい)と霰粒腫(めいぼ)です。めばちこ、めばち、めっぱち、めっぱ、のんめ、など全国で色々な呼び名があります。
瞬きをすると目に痛みを感じます。徐々に赤み腫れが強くなり痛みを伴うようになります。症状が進むと自然に破れて膿が出ることがあります。
麦粒腫は、細菌に感染することで起きる化膿性炎症です(膿がたまるということです)。黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌など生活環境のどこにでもいる種類の細菌です。どこにでもいる細菌に感染してしまうのは、身体の抵抗力が落ちている時です。
抗生物質の目薬や軟膏を使います。腫れが強い時は、抗生物質の内服薬を使うこともあります。
眼窩蜂巣炎になることがあります。眼窩とは、眼球がおさまっている骨で囲まれたスペースでそこに炎症が波及すると、緊急入院して抗生物質の点滴が必要になります。
眼球をボールに見立てます。ボールは、中に空気が入っています。目の中は、ゲル状の物質で満たされています。透明で光が通りやすく、眼の形を保つ働きをしています。
硝子体は、年をとると、一部が濁ってきます。濁った部分は、硝子体腔で動きます。すると黒い点や墨が漂ったように見えます。この状態を生理的飛蚊症と呼びます。生理的飛蚊症は、心配ありません。私にもあります。雑多なものを見ている時は、気になりませんが、空や白い壁など見ていると気づくことがあります。一番飛蚊症が気になったのが、大昔の産休の時。一回だけ、つわりの時期があり、ベッドに寝て、空を眺めていた時でした。目をキョロキョロさせてもゴミみたいなものが見えて、これがいつも見えたら、神経まいるなあ、と思いました。
飛蚊症を自覚したら、やはり、眼科受診をお勧めします。生理的飛蚊症なら良いのですが、硝子体の濁りが網膜の出血や、網膜剥離から起こっている時は、治療が必要です。時期も大事です。網膜に裂け目や穴が開いている状態ならレーザー治療で済む場合があります。裂け目の周囲をレーザー光で塞ぎます。でも網膜が後ろからはがれた状態、すなわち網膜剥離にまで進行すると手術になります。できればレーザーで治療できるうちに受診していただきたいのです。
読んでいてお判りのように、網膜剥離は、一刻を争う疾患では、ありませんし、すぐに失明する病気では、ありません。ただ剥離と診断されたら、広がるのを防ぐため安静に暮らしてください。
細田眼科では、飛蚊症で受診された方には、状態をできる限り図を書いて説明しております。
疼痛、異物感、まぶしさ、流涙などですが、疼痛が強いと開瞼できないくらいのこともあります。
金属(鉄粉)プラスチック片、ガラス片、植物、砂などが角膜(黒目)の上に入ったことが原因になります。
浅層の異物の場合は、点眼麻酔後に異物を除去します。鉄片異物では、受傷後時間が経過するにつれて鉄錆が除去しにくくなってきます。
深層の異物の場合は、虹彩炎(角膜と水晶体の前房に細胞が出現する状態)を起こすこともあり、異物を除去するだけでなく、虹彩炎の治療も必要になります。